強度 intensité(intensity)


farsun05
強度(1)分割すること intensité(intensity)
 「隔たりは、分割されるたびに性質を変えてしまう。たとえば、一つの強度は、付け加え、移し変えることが可能な大きさからなってはいない。ある温度は、それより低い二つの温度の合計ではないし、ある速度は、それより遅い二つの速度の合計ではない。そうではなく、個々の強度はそれ自体一つの差異であるから、分割される個々の項は他の項と性質を異にするような秩序において、分割されるのである。だから、隔たりとは、順序づけられた差異の集合、つまり、ある差異が他の差異に包含されているような集合であり、正確な大きさとは無関係に、大は最大と最小を判断できるのだ。たとえば、運動というものは、ギャロップ、速歩、並足と分けられるだろう。だがこのとき、分けられた一つ一つのものは、分割のたびに性質を変えるのであって、一つ一つは他のものを合成する要素になるわけではない。」(『千のプラトー』p539-540)

の走りの、ギャロップ(全速力:gallop)、速歩(はやあし:trot)、並足(なみあし:walk)。
人間に特化して云い換えれば、スプリント(短距離走:sprint)、ラン(中長距離走:run)、ジョギング(ゆっくり走る:jog)は速さの度合いの違いではなく、走り方が違う、性質が異なるのだと云っている。日本語の「走る」はおおまかで包括的、三分割されている英語より曖昧で、分かりづらいのが欠点。
笑いの強度で云えば、腹を抱えての大笑いbelly laugh)と、普通の笑いlaugh)と、微笑smile)では性質が異なっている。微笑を集めても、笑いにはならないし、大笑いは笑いを足したモノでは無い、別物だ。
強度多様体であることを速度を例にしているので、ここは分かりやすいだろう。
隔たり」は順序づけられた「差異」の集合で、世界は差異隔たり)に満ちている、では多様な異質に満たされた世界がどうして作られたのか、作られているのか、の探求において、その根本をこのような多様体強度に求めている、とも云えるのだ。

 1/14/2020
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