GAFA


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GAFA (ガーファ)
the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(ニューヨーク大学スターン経営大学院教授スコット・ギャロウェイ 東洋経済新報社 2018/7/27)
GAFA 全解剖―週刊東洋経済eビジネス新書No.292』(東洋経済新報社 2019/4/5) の二冊を読んでみた。
(スコット・ギャロウェイ 2021年12月の新刊『GAFA next stage ガーファ ネクストステージ 四騎士+Xの次なる支配戦略』はこれから読む予定、ここではスルーします)
 Google、Apple、Facebook、Amazonthe fourと名付ける。GAFA は日本でしか通用しない和製略語。 著者の予言通り、アップルは既に株式時価総額3兆ドルを超え、トップを維持している。the four 執筆当時はどの企業も1兆ドルを超えていなかったから巨大化は加速さえしているように見える。風当たりが強まる中でも絶好調なのだろう。  トレンドや抜群の利便性、戦略ビジョンなどは読んでみれば一目瞭然なので、更に GAFAの魅力の掘り下げとして指摘されていた、GoogleAmazonの「脳 brain」への刺激。 Facebookの「心 heart」人との繋がりへの渇望。そしてAppleの「性器 genitals」へ訴える、最先端技術(IT製品のスマホ、タブレット)を、ブランドとして身に付けることによって異性にモテること、を満たすという今までの企業、経済活動から突出した特質を取り上げている。  物をたくさん持つ、それは脳に刻まれた狩猟民の本能を充足させ、持てば持つほど安全性が高まるからだと書いている。Amazon はあらゆる商品と人を結びつける。
 注目すべきは質問すれば何でも答えてくれる、最早『神』の領域に達しているかのごときGoogle検索の充実ぶりだ。頭が良くなったと感じさせる効果は知性を持った人間の高貴な至福感をも満たすのであろう。  それらは大学院教授の透徹な分析力があれば難易度は高くても指摘できることなのかもしれない。あらゆる疑問に答えてくれそうな Google であっても、しかし自らの、Google 自体の更に奥深い魅力、求心力に解答を与えることは出来そうもない。
 無謀にもここではその深部に突っ込んでみたいと思っている。
GAFA についての二つの著作を読んで思いついたことではなく、前々から思っていたことと言語化しただけなのであるがーー。
 目に見える物、情報、ネットワークの構築。プラットフォームの整備。資本主義の生産とは目に見える物(商品、或いはサービス)だけでなく、情報の整理、データベースの仕組みと端末との利便性、イン・アウトのスムースな速度。流通・交流・交換。アクティブに動かしつつ統制する、全体を一つの実体として運営すること。一つの作品に接するように生産するのだ。  つまり取り扱う商品や情報を消費するだけでは説明のつかないプラスアルファを考えるのなら GAFA のような巨大企業の存在自体を消費しているのだと云えよう。GAFA 自体が生産される、生産物なのだ。  それは多様なモノが含まれている、多様なモノを生み出す母胎という意味で『多様体』と名付けられるだろう。多様性の充実という意味でも巨大化は必要だった。
 では何故人は『多様体』に惹きつけられるのか、それは人間自体が『多様体』だからである。GAFA が巨人化し、細分化が精密になるほど、リアルになり、その姿が描き出されやすくなる筈なのだ。が、現実には端末に接するのみだろう。 巨大な『多様体』にコンタクトを取り一旦結びつけられるならば、多様体の一部分、要素である人間は、相互作用によって、制御する側に成れる、立てるというのが、知的欲望にとって魅力なのである。『多様体』内の『多様体』。入れ子構造の主従が逆転、それが多様体の魅力、誘惑なのであるから。  巨大なデータベースにアクセスしているんではなくて、巨大なデータベースを従えているオペレーションシステムである自分を『多様体』として発見する。コマンドを発している瞬間は全体の、その主で居られる。

 1/21/2022
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